株式会社クロスメディスン(本社:徳島県徳島市、代表取締役CEO:中井洸我)は、AI育児支援アプリ「あわベビ」に、米国UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)医学部・公衆衛生大学院の准教授であり、ヘルスケアデータサイエンス、医療政策学の第一人者である津川友介氏をアドバイザー(学術顧問)として招聘したことをお知らせいたします。
社会にとっての意義:予防医療の新たなかたち
少子化と産後うつの深刻化が進む日本社会において、「赤ちゃんがなぜ泣いているか」をテクノロジーで可視化し、育児者の不安や孤立を軽減することは、単なるアプリ開発を超えた「社会的介入」と位置づけられます。津川氏の参画により、これまで感覚に依存していた育児の現場に、エビデンスに基づく予防医療の視点が本格的に導入されます。これは、育児支援が感情的な共感だけでなく、科学的根拠と制度的連携をもった社会実装モデルへと進化することを意味します。
津川友介氏 プロフィール
- 現職:カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)医学部・公衆衛生大学院 准教授、医療政策学会代表理事、医師
- 専門領域:ヘルスケアデータサイエンス、医療政策学、医療経済学
- 略歴:ハーバード大学博士課程修了。JAMA Intern Med、BMJ等に論文多数掲載。聖路加国際病院、世界銀行勤務等を経て2017年より現職。エムスリー社取締役(独立)、日本医療政策学会代表理事、日本医療政策機構理事。
企業にとっての意義:「育児×予防医療」でのグロースドライバー形成
「あわベビ」は既に2万人を超えるユーザーに利用され、2025年3月には法人向け「あわベビPro」をローンチ、企業の福利厚生支援や産後ケア事業への参入を本格化しています。今回の津川氏の参画は、単なる技術・研究顧問ではなく、ヘルスケア・公共政策・研究開発・企業戦略の四分野を跨ぐ事業成長ドライバーの獲得です。
これにより、今後以下の分野での企業価値向上が期待されます:
- エビデンスに基づくプロダクト設計:産後うつ・育児困難、発達を科学的に予測・予防
- 企業・自治体との連携加速:保育園・産婦人科・自治体との連携により社会実装推進
- グローバル展開の知的支援:北米・東南アジア等への国際展開を政策的見地から支援
津川友介氏からのコメント
「あわベビ」は、赤ちゃんの泣き声をAIで解析するという一見ユニークな取り組みの中に、育児者の不安を軽減し、産後うつの予防につなげるという、極めて社会的意義の大きいアプローチが内包されています。
クロスメディスンがこれまでに実現してきた、「赤ちゃんの泣き声」というAIにとって未踏の領域における仮説立て・検証・実装の一貫した成果は、極めて稀有で、実行力のあるチームであることを証明しています。また、同社には、音声や発話、発達といった複合的な非構造データの解析に通じたエンジニアが在籍しており、技術的知見だけでなく、“ユーザーにとって本当に大変なこと”を見抜く感性と、プロダクトへと落とし込む力を兼ね備えています。さらに、機能性だけではなく、育児の「つらさ」を「ちょっと楽しい体験」に変換するUI/UXへのこだわりも、プロダクトとしての完成度を高めています。
医学やAI、メンタルヘルスなどを専門とする若く将来性のあるメンバーが揃っており、独自に構築された音声解析アルゴリズムの精度と拡張性は、泣き声という個別性が高い信号を実用レベルで分類できる点において、国際的にも大変先進的です。これは育児支援にとどまらず、乳幼児の発達モニタリングや発話傾向の解析など、より広範な応用可能性を持っています。
私はUCLAでデータサイエンスやAIを専門としていますが、クロスメディスンの事業は、育児という個人の課題を出発点にしながら、社会保障コストの抑制や企業の生産性向上、少子化対策にまで波及しうるスケーラビリティを有しており、社会性とグロースの両立が可能な数少ないヘルスケアスタートアップだと確信しています。
その将来性と社会的意義に共鳴し、今回、アドバイザーとして参画させていただくこととなりました。医学・政策・技術を横断的に接続しながら、未来の子育てと医療のあり方を再定義する挑戦に貢献してまいります。
中井洸我(弊社代表)のコメント
「津川先生との出会いは、私が文部科学省「トビタテ!留学JAPAN」の制度を通じて、スタンフォード大学へ研究留学していた際のことです。
津川先生は、常にエビデンスに基づいた意思決定を重視され、社会的インパクトのある取り組みに対して、揺るぎない判断軸をお持ちです。その真摯な姿勢に、強く感銘を受けました。
技術革新や社会情勢の変化が激しい今の時代において、事業がどこに向かうべきかを見失わず、常に「社会にとって本当に必要な価値」を問い続ける姿勢こそ、持続可能なヘルスケア事業をつくる上で不可欠だと感じています。
今回のご参画を通じて、私たちは「あわベビ」というサービスを単なる育児支援アプリにとどめることなく、科学と共感に基づいた予防医療の社会基盤として発展させてまいります。」
今後の展開
領域 | 推進内容 | 社会的リターン |
予防医療 | 産後うつの予防や乳幼児の発達支援 | 精神疾患の医療コスト抑制、母子のQOL向上 |
健康経営 | 法人向け「あわベビPro」の福利厚生導入拡大 | 離職率の低下、生産性の向上 |
技術とエビデンスのあるプロダクトの開発 | 基盤技術となる深層学習を活用した音声解析技術や生成AIを活用した、新たなアプローチの創出 | メンタルヘルスや、機械音の異常検知やAIによる通話オペレーションなど、異分野との新たな事業シナジー |
地域連携 | 自治体や医療機関との共同実証 | 子育て支援政策との接続、少子化対策への寄与 |
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